Passages。路地や横丁、街路、小路など表わすフランス語。「通過」する「以降」すると言う意味もある。19世紀のパリを中心に出現しヨーロッパの都市に広がった、ガラス屋根付きのアーケード街で、ドイツの文化史家・哲学者であるヴァルター・ベンヤミンが、1927年〜1935年に書き継いだ断片的な思索集『パサージュ論』によって広く知られるようになった。
[都市の表象分析 16]
...われはベンヤミンにならって、一九世紀パリのパサージュに見いだすことができるのではないだろうか... ...ことは確認されておいてよい。逆に見れば、『パサージュ論』とは、これもまたゴーストライターによ...
『10+1』 No.34 (街路) | pp.2-11
[批評]
...蠢く都市の欲望 もともとパサージュは、独立した建築物としての体裁をなしていない場合が多いのであ... ...れが今、パサージュと呼ばれているものである。それぞれには名前の由来がある。パサージュ・ド・ヴ...
『10+1』 No.02 (制度/プログラム/ビルディング・タイプ) | pp.253-272
[知の空間=空間の知 2]
...もう一人の「読む人」を召喚しよう。 パリのパサージュを扱ったこの著作は、丸天井に広がる雲ひとつ... ...きな関心事が、ついに未完成のままに終った『パサージュ論』と呼ばれる著作であったことは周知の通...
『10+1』 No.06 (サイバーアーキテクチャー) | pp.2-15
[批評]
...ルター・ベンヤミン[図6]へのオマージュ《パサージュ》[図7─10]では、コールテン鋼製のトンネル... ...横断する。そして、その線の切断は、例えば「パサージュ」のように、ひとつの悲劇を演出してしまう...
『10+1』 No.15 (交通空間としての都市──線/ストリート/フィルム・ノワール) | pp.92-103
[都市表象分析 24]
...1 都市の通過儀礼──パサージュから無用門へ 境界は異人たちの棲み処だった。橋や坂には遊女や乞食... ...揺れ」る境界経験の儀礼にほかならない。 『パサージュ論』が一九世紀のパリにそんな境界としての敷...
『10+1』 No.42 (グラウンディング──地図を描く身体) | pp.2-12
[批評]
...あたらしく使われだした鉄骨とガラスを使ったパサージュという屋根付きの商店街は、ただ商品の売買... ...ばパサージュ・デ・パノラマ、パサージュ・ジュフロワ、パサージュ・ヴエルドオの三つのパサージュ...
『10+1』 No.02 (制度/プログラム/ビルディング・タイプ) | pp.245-252
[都市表象分析 28]
...にしている。その認識に通じる「敷居学」が『パサージュ論』をはじめとするヴァルター・ベンヤミン... ...もまた周知の通りだ。 そう、ベンヤミンが『パサージュ論』で行なおうとしたことは、一九世紀のパリ...
『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.2-12
[論考]
...デルがパリのパサージュにほかならない。「他のどんな場所にもまして、街路はパサージュにおいて、... ...では都市空間の構造が反転している。そして、パサージュが問題としているのは、内部空間を明るく照...
『10+1』 No.40 (神経系都市論 身体・都市・クライシス) | pp.70-79
[対談]
...ログラムと呼んでいます。例えばベンヤミンのパサージュ論とはそのレヴェルの話で、パッサージュは... ...のかどうか、ということです。ベンヤミンの『パサージュ論』を読んでいてもその疑問はずっとあって...
『10+1』 No.02 (制度/プログラム/ビルディング・タイプ) | pp.26-49
[都市表象分析 6]
...な倦怠や退屈だけでしかない。ベンヤミンは『パサージュ論』で書いている。 倦怠とは、内側に華やか... ...ことなのだ。そして、パサージュについてもそのように扱うほかない。パサージュはそのなかでわれわ...
『10+1』 No.24 (フィールドワーク/歩行と視線) | pp.2-10
[批評]
...パリのパサージュをその弁証法的なイメージと見なしたが、『パサージュ論』にはそのパサージュを博... ...怪獣たちの痕跡が残されているように、今日のパサージュは大都市のなかで、すでに見当たらなくなっ...
『10+1』 No.12 (東京新論) | pp.133-143
[都市表象分析 10]
...。「一九〇〇年頃のベルリンの幼年時代」、『パサージュ論』、あるいはナポリやモスクワなどをめぐ... ...「原現象」の概念を参照することができる。『パサージュ論』では、『ドイツ悲劇の根源』で使われた...
『10+1』 No.28 (現代住宅の条件) | pp.2-10
[都市表象分析 30]
...って囲繞されている。 ベンヤミンにとってはパサージュもまた、一九世紀という貝殻のメタモルフォー... ...を耳に当てて海の音を聞こうとする慣わしを、パサージュをはじめとする光の街路のような閉じた空間...
『10+1』 No.48 (アルゴリズム的思考と建築) | pp.2-10
[都市表象分析 29]
...写真を使用している。 ベンヤミンもまた、『パサージュ論』の断章に「遊歩者にとってはどんな街路も... ...と無縁ではない、ある過去への下降である。『パサージュ論』の断章では、それは遊歩者自身の個人的...
『10+1』 No.47 (東京をどのように記述するか?) | pp.2-14
[都市表象分析 32]
...世界崩壊の感覚である。『パサージュ論』でベンヤミンは、パリのパサージュを絶滅した怪獣たちの化... ...、かつての消費者たちであると言う。つまり、パサージュとは一九世紀の歴史が化石化した、自然史的...
『10+1』 No.50 (Tokyo Metabolism 2010/50 Years After 1960) | pp.2-10
[非都市の存在論 12]
...けられたこの寓意家のまなざしである。パリのパサージュとは事後的に発見された近代都市の寓意的な... ...一九〇〇年前後のベルリンの幼年時代』から『パサージュ論』にいたるベンヤミンの都市論を貫いてい...
『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) | pp.10-19
[論考]
...はまるでミラノのような大パサージュが展開していた[図2]。パサージュというミチに対して垂直に間... ...パサージュを歩き終わると、大モスク前の広場へと至った。そして振り返ってみると、そのパサージュ...
『10+1』 No.42 (グラウンディング──地図を描く身体) | pp.140-145
[都市表象分析 27]
...とを指摘していた。 ベンヤミンの『パサージュ論』がパサージュを自然史=博物誌的な「驚異の部屋」... ...でに論じたことがある★三五。ベンヤミンは、パサージュを「ヨーロッパ最後のディノザウルスである...
『10+1』 No.45 (都市の危機/都市の再生──アーバニズムは可能か?) | pp.2-12
[都市表象分析 9]
...といった著作にとどまらず、多くの都市論や『パサージュ論』においてもまた、ベンヤミンがここで述... ...★一七。大都市を迷宮に化そうとする衝動は、パサージュという四方を覆われた回廊によって完成され...
『10+1』 No.27 (建築的/アート的) | pp.2-10
[非都市の存在論 7]
...侵入してくる麻薬めいた陶酔に通じている。『パサージュ論』では、歴史上のさまざまな人物に転身す... ...、フロベールを引用して語られていた★二三。パサージュという大都市の襞、あるいは都市の記憶の線...
『10+1』 No.11 (新しい地理学) | pp.16-27
[映像のトポス 1]
...て」(一九三九)の印象的な箇所、あるいは『パサージュ論』のいくつかの断章で、ベンヤミンは都市... ...貨幣の哲学』に含まれていて、ベンヤミンは『パサージュ論㈽ 都市の遊歩者』(今村仁司他訳、岩波...
『10+1』 No.13 (メディア都市の地政学) | pp.33-44
[都市表象分析 22]
...している★一七。ヴァルター・ベンヤミンの『パサージュ論』が同じ『パリの農夫』から大きく触発さ... ...可視化されてしまった境界に注目する視点は『パサージュ論』にも通じる。しかし、中沢の作品は、「...
『10+1』 No.40 (神経系都市論 身体・都市・クライシス) | pp.2-12
[非都市の存在論 9]
...とショウ・ウィンドウに囲まれた迷宮のようなパサージュであり、シンバルを打ち鳴らす猿の玩具や電... ...──一九世紀の首都(フランス語草稿)」、『パサージュ論I』(今村仁司・三島憲一ほか訳、岩波書店...
『10+1』 No.13 (メディア都市の地政学) | pp.12-24
[ラディカリズム以降の建築 1960s-1990s 7]
...ティ大崎のアトリウム 筆者撮影世紀末東京のパサージュ 東京は巨大な胃袋のような都市なのかもしれな... ...注目したパサージュが思い出されるだろう★一六。「家であるとともに道路でもあるパサージュ」は、...
『10+1』 No.19 (都市/建築クロニクル 1990-2000) | pp.221-231
[論考]
...。ところで、パサージュにおいては後者の要素は死に絶えてしまった。交通はパサージュに痕跡として... ...交通という体内循環が滞っているため、商品がパサージュの両側の縁にはみ出し、ちょうど潰瘍にかか...
『10+1』 No.40 (神経系都市論 身体・都市・クライシス) | pp.208-217
[非都市の存在論 5]
...望が渦巻き、情報が行き交う空間である街路やパサージュから切り離され、ブルジョアの室内は私的空... ...)所収。 ★二──ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論V』(今村仁司・三島憲一ほか訳、岩波書店、...
『10+1』 No.09 (風景/ランドスケープ) | pp.14-25
[非都市の存在論 4]
...て可能な限りの偶然の出会いを組織すること、パサージュ的な遊歩の空間を作り出すことであるらしい... ...詩人にとってのパリのパサージュとはまったく異なり、このデジタル・パサージュでは遊歩そのものが...
『10+1』 No.08 (トラヴェローグ、トライブ、トランスレーション──渚にて ) | pp.16-27
[映像のトポス 2]
...る数多の中枢のひとつとなるのだが、かつてのパサージュがあたかも生身の遊歩者の親密な居室であっ... ...のものと関連させて論じている。すなわち、『パサージュ論』は歴史的断片のモンタージュであるが、...
『10+1』 No.14 (現代建築批評の方法──身体/ジェンダー/建築) | pp.22-29
[対談]
...とがあると思います。もちろんベンヤミンの『パサージュ論』を引くまでもなく、近代化が進むにつれ... ...ヤミンに注目していますけど、ベンヤミンが『パサージュ論』でやろうとしたことはきっとそういうこ...
『10+1』 No.12 (東京新論) | pp.62-79
[論考]
...物へと変容させるものなのだ。ベンヤミンが『パサージュ論』においてこう述べているように。「絶え... ...されてきたのではないだろうか? それこそがパサージュをカジノや賭博場へと変容させるものではな...
『10+1』 No.03 (ノーテーション/カルトグラフィ) | pp.67-73
[対談]
...。具体的な都市空間で考えれば、それは道路やパサージュ、アウトバーン、鉄道、地下鉄などの交通空... ...いても、断崖に突き立てられたトンネルというパサージュが海面上で切断される。その切断が与える衝...
『10+1』 No.15 (交通空間としての都市──線/ストリート/フィルム・ノワール) | pp.74-91
[都市/テクスト]
...、ヴァルター・ベンヤミンが一九世紀のパリのパサージュに見出していた資本制による空間と身体とイ... ...たことも、忘れてはならない。ベンヤミンの『パサージュ論』の翻訳刊行や、シカゴ学派による都市エ...
『10+1』 No.19 (都市/建築クロニクル 1990-2000) | pp.110-111
[フィールドワーク]
...先で現われてくる、思考実験としての建築体(パサージュ)である。つまりそれは、多数性としての東... ...コンパクトシティの挿入を創案している。このパサージュは、パラレル・ワールドの第1象限における凝...
『10+1』 No.48 (アルゴリズム的思考と建築) | pp.181-192
[都市論の系譜学 3]
...超コード化はあるコードからコードへの移行(パサージュ)、運動なのである。ここで増大するものは... ...ら単純に、いろいろな意味を込めつつこれを「パサージュ」と呼ぶだろう)。 意味の流れの媒介と、モ...
『10+1』 No.03 (ノーテーション/カルトグラフィ) | pp.263-274
[対談]
...ミンのボードレール論なんかを読めば、パリのパサージュに何の経験があるのかと言えば、それは群集... ...れてよいと思う。ひと目の恋に酔う人もです。パサージュ論で、娼婦や商品との関係に入る身体はぽつ...
『10+1』 No.39 (生きられる東京 都市の経験、都市の時間) | pp.66-81
[都市表象分析 19]
...市の面影なのだ、と言おうか。ベンヤミンは『パサージュ論』における街路名の理論のために、プルー... ...四頁。 ★三二──ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論III』(三島憲一ほか訳、岩波書店、一九九四...
『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.2-12
[都市表象分析 11]
...ようとした試みがヴァルター・ベンヤミンの『パサージュ論』であったとすれば、都市表象分析が想起... ...六頁。 ★三三──ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論IV』(三島憲一ほか訳、岩波書店、一九九三...
『10+1』 No.29 (新・東京の地誌学 都市を発見するために) | pp.2-12
[知の空間=空間の知 6]
...た。ベンヤミンが注目した第二帝政期のパリのパサージュに、光と影の微妙なあわいを作り出していた... ...威をひととき忘れることができるかのようだ。パサージュにたゆたっている水族館のような微妙な光の...
『10+1』 No.10 (ル・コルビュジエを発見する) | pp.2-17
[非都市の存在論 1]
...夢(Zeit-traum)〉(ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論』)であるとするならば、非都市とは、都市... ...ト)のなかにしか存在しない。ベンヤミンが『パサージュ論』でボードレールの詩のなかに分析した大...
『10+1』 No.05 (住居の現在形) | pp.16-27
[批評]
...る★二八。 一九世紀のパリの都市空間、特にパサージュと密接な関係にあった歴史上の遊歩者たちは、... ...三頁。 ★二五──ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論III 都市の遊歩者』(今村仁司他訳、岩波書...
『10+1』 No.11 (新しい地理学) | pp.138-150
[批評]
...」としてアピールした一九世紀のアーケード(パサージュ)や万国博覧会に似ているし、ある程度は意... ...が刊行されたヴァルター・ベンヤミンの未完のパサージュ論に引っかけて書かれたこのショッピング・...
『10+1』 No.02 (制度/プログラム/ビルディング・タイプ) | pp.233-244
[建築家的読書術]
...めて示唆的であるように思われてくるのだ。『パサージュ論』(今村仁司ほか訳、岩波書店、一九九三... ...あるいは綱領として読めるだろう。 2──同『パサージュ論』3──同『ベルリンの幼年時代』そして再...
『10+1』 No.38 (建築と書物──読むこと、書くこと、つくること) | pp.92-95
[鼎談]
...ミンはパサージュを挙げていますが、一九世紀ではパノラマ的なものが骨格であり、パサージュはその...
『10+1』 No.14 (現代建築批評の方法──身体/ジェンダー/建築) | pp.62-81
[論考]
...れて見えなくなり、都市は均質になっていく。パサージュ論のなかでベンヤミンのある断章はそのこと... ... 多木浩二 ★一──ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論──I』(今村仁司他訳、岩波書店、一九九...
『10+1』 No.01 (ノン・カテゴリーシティ──都市的なるもの、あるいはペリフェリーの変容) | pp.264-270
[景観の視学/史学/詩学 5]
「まちづくり」に際して、ことさらコンテクスチュアリズムを標榜せずとも、界隈を表現するために使われてきた言葉を確認するのは必須の作業だ。とはいえ街のイメージは往々...九メートルのガラスの屋根を架けて一九世紀のパサージュやかつてのパヴィリオンを偲ばせるSeuraの案、...
『10+1』 No.35 (建築の技法──19の建築的冒険) | pp.28-30
[1990年代以降の建築・都市 4]
近代都市のアール・ヌーヴォー 今から一〇〇年前、地下鉄が近代都市のシンボルだった頃、パリのメトロの入口が、エクトール・ギマールの設計によって華麗に飾りたてられた...dizioni, 1998. ★五──ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論』(岩波書店、一九九三)。 ★六──『JA...
『10+1』 No.28 (現代住宅の条件) | pp.156-166
[Urban Tribal Studies 7]
どんな都市や街路にも特定のリズムがある。同じように巨大都市であり、せわしなさにおいても似ている東京とロンドンだが、それでも街のもっているリズムは異なっている。 ...である。 註 ★一──こうした点をめぐって「パサージュ論」をはじめとする都市や遊歩の理論家である...
『10+1』 No.19 (都市/建築クロニクル 1990-2000) | pp.232-241
[現代住宅研究 13-1]
俗に言う裏原宿あたりでは、既存の貸しビルや戸建ての住宅を改造した、ショップやカフェが人気である。店の多くは、表参道に立ち並ぶいわゆるツルピカのファッションビルと...う。それはベンヤミンが一九二〇年代のパリのパサージュにおいて、一九世紀という時代の、夢に向け...
『10+1』 No.30 (都市プロジェクト・スタディ) | pp.13-18
[音 2]
0 パリを訪れる人は多いが、毎日曜朝に執り行なわれているノートルダム寺院[図1nのミサはほとんど知られていない。この都市で音と時間、そして空間を考えるなら、ポン...ィヌスの『大全』改訂がなされた。側廊というパサージュの共鳴空間が、新たなエクリチュールを許容...
『10+1』 No.15 (交通空間としての都市──線/ストリート/フィルム・ノワール) | pp.40-41
[知の空間=空間の知 4]
炎に包まれるオルセー パリを燃やしてしまえ。日に日に「現代化」しつつある一八八〇年代末のフランスの首都に、「現在」への屈折した憎悪を抱えこみつつ暮らしていた奇矯...あの詩的瞑想を想起させはしまいか。「パリのパサージュを扱ったこの著作は、丸天井に広がる雲一つ...
[都市表象分析 7]
1 非正規性のグローバル化 二〇〇一年九月一一日、アメリカ合衆国を襲った同時多発テロは、六〇〇〇人にのぼると言われる犠牲者を出し、ニューヨークとワシントンの両都...トでダートンは、ヴァルター・ベンヤミンの『パサージュ論』の精神にならい、世界貿易センターをめ...
『10+1』 No.25 (都市の境界/建築の境界) | pp.2-11
[アート・レヴュー 1]
今年も現代美術の祭典であるヴェネツィア・ビエンナーレがオープンした。二年に一回開催されるこの国際美術展は、今年で四八回目である。同様の国際美術展にドイツのカッセ...ホウ・ハンル「パリと移民アーティスト」(『パサージュ』展カタログ、世田谷美術館ほか、一九九九...
『10+1』 No.18 (住宅建築スタディ──住むことと建てることの現在) | pp.41-42
[Urban Tribal Studies 8]
エクスタシーとテクノは情動=感情に適用されたコミュニズム(共産主義)である。 ニコラス・サンダース 彼らの恍惚に内容はない。恍惚に達すること、音楽が聴かれるこ...すのも紋切りにすぎるが、W・ベンヤミンの「パサージュ論」などはまさにTJの何たるかを教えてくれる...
『10+1』 No.20 (言説としての日本近代建築) | pp.213-222
[現代住宅論 2]
今回はサステイナブル・デザインの理論的根拠について考えてみたい。そのために、まず建築を総合的にとらえるマトリクスを提案することから始めよう。 ローマ時代の建築家...スや二〇世紀初頭のワルター・ベンヤミンの「パサージュ論」に技術主義的な建築史観の萌芽を見るこ...
『10+1』 No.45 (都市の危機/都市の再生──アーバニズムは可能か?) | pp.225-233
[都市表象分析 31]
1 「非都市」という戦略 前回の論考は、拙著『都市の詩学』に対する趣向を変えたあとがきのようなものとなった。それが本連載を中心として、ここ数年の都市論やイメージ...命題に過ぎない。本書のなかでベンヤミンの『パサージュ論』に触れて多木は、都市とは世界認識、歴...
『10+1』 No.49 (現代建築・都市問答集32) | pp.2-11
[現代住宅論 7]
前回の「建築的無意識」では、ヴァルター・ベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」からヒントを得て、建築空間が身体化・無意識化され、さらに、それが形による働きかけを...史的痕跡を、繊細な注視によって抉り出した『パサージュ論』という歴史書を著している。前者は注視...
『10+1』 No.50 (Tokyo Metabolism 2010/50 Years After 1960) | pp.277-285
[1990年代以降の建築・都市 21]
アジア的なシドニーの景観 今秋、「rapt!」という日本とオーストラリアの交流年にあわせた美術系のイヴェントの一環で、初めてオーストラリアを訪れた。日本国内では...シックなどの様式建築のほか、パリを思わせるパサージュの空間から豊かな装飾をもつアール・デコま...
『10+1』 No.45 (都市の危機/都市の再生──アーバニズムは可能か?) | pp.39-41
[1990年代以降の建築・都市 17]
巨大なスケールと精巧なディテール 谷口吉生は特異な日本人建築家である。経歴を調べると、以下の二点が指摘できる。 第一に、ほとんど住宅作品がない。通常、日本の建築...二〇〇四)は、都市軸から延長されたガラスのパサージュが大きな壁を貫く。安藤忠雄の《国際こども...
『10+1』 No.41 (実験住宅) | pp.20-21
[ミュージアム・テクノロジー随想 1]
本連載のシリーズ題名にある「ミュージアム・テクノロジー」というのは、二〇〇二年一〇月に東京大学総合研究博物館に開設された寄付研究部門に付けられた部門名である(産...ネルギーである。 ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論』 もうひとつ、博物館というところに身を...
『10+1』 No.36 (万博の遠近法) | pp.41-42
[非都市の存在論 3]
1 Modernologio──〈現在〉の考古学 首都東京を壊滅させた一九二三年の関東大震災は、欧米における第一次世界大戦に対応する歴史の断絶をもたらした。そし...・ベンヤミン(三島憲一・今村仁司ほか訳)『パサージュ論 I』(岩波書店、一九九三年)、一九頁。 ...
『10+1』 No.07 (アーバン・スタディーズ──都市論の臨界点) | pp.16-27
[Urban Tribal Studies 14]
ここにはドイツ青年運動の奇妙な、独特の体質がある。青春を、やがて成熟へと吸収される人生の一段階と見ることを断固として拒否し、青春に固有の文化的、認識論的権利を、...ちらとも矛盾しない。近代人の主体がモール(パサージュ)を歩くというより、モールが主体のモデル...
『10+1』 No.27 (建築的/アート的) | pp.176-186
[都市とモードのフィールドノート 2]
あなたはいつ、どこで自分の外見を見るだろうか。 個人差、男女差、世代差もあるが、おそらく男性読者の方々は、鏡を携帯して自分の顔を頻繁にチェックすることはあまりな...は遊歩者が最後に行き着くところである」(『パサージュ論』)。 見ることによって商品や他者を欲望...
『10+1』 No.33 (建築と情報の新しいかたち コミュニティウェア) | pp.36-38
[翻訳論文]
建造環境が建造されるのは建造を許可されたからである。建造環境が建造を許可されたのはそれが制度ないしは支配的文化を表象し反映しているからである。建築物の予算がパブ...ブールヴァールやボードレールのパリにおけるパサージュといかにはっきり異なっているかということ...
『10+1』 No.34 (街路) | pp.137-148
[風景の修辞学 1]
1 風景が都市を生む すべての都市は見る人からおのれのかたちを受け取る。ひとつの都市のかたちは無数にある、といってもよかろう。そのかたちは表象として想像力にしみ...姿を見ていない筈はなかった。一九世紀以来のパサージュから僅かに残ったものを知っていたし、いた...
[対談]
都市の政治学=社会学と均質空間 田中── 今回の特集は「メディア都市の地政学」と題しています。空間的な距離を無化するテレコミュニケーションが普及することによって...ベンヤミンはこのことに気づいていた思う。『パサージュ論』から『ドイツ哀悼劇の根源』に遡ること...
『10+1』 No.13 (メディア都市の地政学) | pp.62-77
[批評]
われわれは自宅でさまざまな形でエネルギーを享受しているが、それに支配されていると考えたことなどない。同じように、将来さらに速く変化し変容するこうしたエネルギーを...urt/M. 1982.(邦訳=「ブルジョワジーの夢」、『パサージュ論V』今村仁司ほか訳、岩波書店、一九九五)...
『10+1』 No.13 (メディア都市の地政学) | pp.78-87
[批評]
...を与えた。リボリ通りの長く続くアーケード[パサージュ]は、フランスでも新しいタイプの都市空間... ...から放射線状に北へ東へ西へと延ばしている。パサージュ・デ・パノラマ、ギャルリー・ヴィヴィエン...
『10+1』 No.02 (制度/プログラム/ビルディング・タイプ) | pp.147-169
[批評]
1:「初めての」絵画 発端となる絵画[図1]では、画面を水平に二分するような明暗の中にいくつかの物が配されている。表面の艶やかな水平面に置かれた一つの白いキュー...きであろう。そして、セザンヌから受け継ぐ「パサージュ」と呼ばれる、輪郭線の破断からもたらされ...
『10+1』 No.10 (ル・コルビュジエを発見する) | pp.77-94
[日本]
長田直之 Naoyuki Nagata:1968年生まれ。90─94年安藤忠雄建築研究所勤務後、94年I.C.U.開設。大阪芸術大学、大阪市立大学非常勤講師。9...していないのが惜しまれる。面白いのは構内をパサージュ(旧農道だが内部通路でもある)が貫いてい...
『10+1』 No.22 (建築2001──40のナビゲーション) | pp.148-149
[建築家的読書術]
五年前、はじめて大学に研究室を持つことになったとき、研究室の方向性を明確に示すために「難波研必読書二〇」をリストアップすることにした。大学生にはちょっと無理かも...明解に捉えた視点には出会ったことがない。『パサージュ論I』(今村仁司ほか訳、岩波書店、一九九三...
『10+1』 No.38 (建築と書物──読むこと、書くこと、つくること) | pp.86-88
[論考]
「それらには何か或るものが共有されていなくてはならない。さもないと、それらは「ゲーム」と呼ばれないから」などと言ってはならない。──そうではなく、それら全てに何...〇頁。 ★一六──ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論III──都市の遊歩者』(今村仁司ほか訳、岩...
『10+1』 No.18 (住宅建築スタディ──住むことと建てることの現在) | pp.111-120
[批評]
これが人生さ(アシ・エス・ラ・ビーダ) ロドニー・キング事件のテープがスペイン語放送のテレビで放映された。警察について話し合われることはサウスゲート成人学校では...きだった」。 先の学者は、ロサンゼルス版『パサージュ論』のための、この五〇頁にわたる秘密のメモ...
『10+1』 No.13 (メディア都市の地政学) | pp.167-179
[批評]
仕事と私生活のあいだに明瞭な区別を迫ることはできないのです。ちょうど継ぎ目のない蜘蛛の糸のようなものです。 ビル・クリントン(「政策発表──テクノロジー施策の最...とは、いったいいかなることなのか? 都市のパサージュでは、可動性を持った「テレビ」、すなわち...
『10+1』 No.15 (交通空間としての都市──線/ストリート/フィルム・ノワール) | pp.171-179
[論考]
町のなかを移動する者、つまり町の使用者(われわれすべてがこの者である)は一種の読者なのであって、おのれに課されたさまざまの義務や必要な移動に従って、言表のいくつ...せ、テクストは生産される。 地下鉄──動くパサージュ 地下鉄車両はそれ自体動いてはいるが、その...
『10+1』 No.29 (新・東京の地誌学 都市を発見するために) | pp.117-126
[論考]
序 東京にクラブとよばれる空間が、都市に穿たれた穴のように点在している。 一九八九年、現在に直接つながるクラブ、芝浦GOLDが出現した。九〇年代前半、バブル最後...見られたという。 ★二九──ベンヤミンは『パサージュ論』(X13a)のなかで、「ファンタスマゴリー」...
『10+1』 No.39 (生きられる東京 都市の経験、都市の時間) | pp.92-99
[論考]
建築は時間を遅らせる機械である★一 ロラン・ボードゥワン 最近わたしは学部学生のグループがアメリカのある儀式を見学するように...になるまで燃やされる。人生の重要な通過点(パサージュ)を特徴づける儀式を失ってしまった西海岸...
『10+1』 No.44 (藤森照信 方法としての歩く、見る、語る。) | pp.142-145
[翻訳]
空間の知覚と使用 感覚や知覚、あるいは運動といった次元を通じてであるにしろ、空間の身体的な大きさを考察の中に取り入れている建築家たちもいる。つまり空間の知覚に対...ァルゴー通りでは、通りに面したファサードとパサージュに面したファサードとが対立し、あからさま...
『10+1』 No.26 (都市集住スタディ) | pp.128-144
[論考]
1 境界と領域 よく知られているように、クロード・レヴィ=ストロースは『悲しき熱帯』や『構造人類学』のなかで、南米のボロロ族をはじめとするいくつかの部族社会の村...じて生産・消費されてきた★一四。一九世紀のパサージュに始まり、デパートやショー・ウィンドウ、...
『10+1』 No.25 (都市の境界/建築の境界) | pp.142-150
[図版構成]
1499年、ヴェネツィアで出版された作者不詳(フランチェスコ・コロンナ修道士?、1433─1527)の物語『ポリフィリア(Poliphilo)の夢』は瞬く間にヨ...いるパリであった。ベンヤミンは「パリをそのパサージュや門や墓地や売春宿や駅」、「殺人と暴動、...
『10+1』 No.15 (交通空間としての都市──線/ストリート/フィルム・ノワール) | pp.214-225
[批評]
1 錯乱のプロローグ 一九八×年:おそらく二〇世紀の「東京」。人々は平和を謳歌している。見慣れた渋谷や新宿の風景。どこにでもいそうな公園の男女。ダンサーを志望す...う★一。ベンヤミンならば、これを醜い巨大なパサージュというのだろうか。 そして誰もが口をそろえ...
『10+1』 No.12 (東京新論) | pp.80-90
[論考]
一 まなざしの送り返し 一九六〇年代前半から勃興しはじめたデザイン・サーヴェイが、保存の問題や設計リソースの収集という「有効性=有能性」を保持していたのに対して...編訳、ちくま学芸文庫、一九九六)七三頁、『パサージュ論』第三巻(今村仁司+三島憲一ほか訳、岩...
『10+1』 No.44 (藤森照信 方法としての歩く、見る、語る。) | pp.108-119