1978年生まれ。表象文化論、近代イタリア文化史研究。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。
(最終更新:2010年3月1日)
[論考]
1 ナポリにおける断絶 早くも灰色がかったくすんだ髪が額にかかり、鼻は細く尖って、唇は薄く蒼ざめ、目は異様に澄んでいた。灰色の、あるいは蒼いとも白いともつかぬ両の目は、魚のそれを想わせた。右の頬に長く筋を引いた傷跡があった。どこか不意に私の心を揺さぶるものがあった。それは耳、ごく小さな、血の気のない耳だった。蝋や牛乳...
『10+1』 No.40 (神経系都市論 身体・都市・クライシス) | pp.242-251