マコト・ヨコミゾ, 建築都市ワークショップ
、2005年、103ページ
ISBN=9784906544141
[テクノロジーロマン 3]
身の回りにある「住設」(住宅設備)を見てみると、自分たちの意思とは関係なく勝手に動き出す機械が増えていることに気づく。人の動きや照度などに反応する照明器具、人のいる位置を目指して調和された空気を吹きかけるエアコン、室温に反応して作動する暖房機、便座を立つと吸気をはじめる脱臭器、浴槽の水温を感知して湯を沸かす給湯器、気温...
『10+1』 No.47 (東京をどのように記述するか?) | pp.31-36
[テクノロジーロマン 4]
不思議なキッチンを見かけた。英国で一九世紀に製造されたというアンティーク・テーブルに、落ち着いた輝きを放つステンレス製の最新式のガス・テーブルとシンクが載せてある。しゃれた水栓が添えてある。その異質な組み合わせがまず目を引いた。謳い文句は、「世界にたったひとつしかない究極のパーソナル」。一流キッチン・メーカーのセミオー...
『10+1』 No.48 (アルゴリズム的思考と建築) | pp.39-44
[テクノロジーロマン 5]
ガソリン価格の急騰が続いている。その煽りを受けて、とうもろこしやサトウキビの需要が食料から燃料へシフトしているという記事を見てハッとした。人間の得る食料と車の得る燃料のエネルギー源がまったく同じだったという事実は衝撃的だった。食料と燃料が同じということは、いよいよ人類は機械までをも巻き込んだゼロサム・ゲーム(有限な分け...
『10+1』 No.49 (現代建築・都市問答集32) | pp.35-40
[テクノロジーロマン 2]
少年が巨大ロボットや空飛ぶ車をリモコンで操り、世界征服を企む悪の秘密結社を相手に活躍するというTVアニメーションが、一九六〇─七〇年代に子供たちの心をとらえた。鉄人28号、スーパージェッター、ジャイアントロボ……、自身を遙かに超える超越的な力を自在に操れることに興奮を覚えた。私にとって初めてのリモコンのイメージは、疑う...
『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.27-32
[テクノロジーロマン 1]
はじめに ちょうど一年ほど前、ある展示会場で踊る便器を見た。ワルツに合わせて蓋と便座が開いたり閉じたり、シャワーノズルが伸びたり縮んだり、噴水のように水を噴き出したり……、もちろん展示向けの演出なのだが。そのとき、これはもはや便器ではないと感じた。ものは、本来、倫理性にもとづいた必然から生まれるものと思っていた。しかし...
『10+1』 No.45 (都市の危機/都市の再生──アーバニズムは可能か?) | pp.31-36
[現代建築思潮]
...はないかと思ったからです。ヨコミゾさんの《富弘美術館》では非中心性、非全体性、相対性、非均質... ...緒に何かやりましょうということになって、《富弘美術館》のコンペに参加したわけです。その後、金...
『10+1』 No.33 (建築と情報の新しいかたち コミュニティウェア) | pp.45-52
[建築家的読書術]
読書術とのことだが、単なる読書案内になってしまうかもしれない。 とりあえず文学作品から始めてみよう。山尾悠子の「遠近法」という作品。〈腸詰宇宙〉というのがあって、基底と頂上のない円筒形の内部に広がる(と言っても上下方向のみだが)宇宙の話。彼女の作品には澁澤龍彦、三島由紀夫、光瀬龍らに通じる終末感とエロティシズムとサディ...
『10+1』 No.38 (建築と書物──読むこと、書くこと、つくること) | pp.100-101
[脱芸術/脱資本主義をめぐるノート 5]
七月一七日午後一時半、豊島区立豊成小学校図工室。暑い、とにかく暑い。しかし、その暑さは単に気温だけではない。この狭い、小学校の教室の壁際に、溢れんばかりに犇めき合っている一〇〇人以上もの教師たちの異常な熱気でもあるのだ。 教室の中央には、(この連載の初回で紹介した)音楽家野村誠と赤いコンガ。そこに、生徒たちが入室してく...
『10+1』 No.22 (建築2001──40のナビゲーション) | pp.45-47
[1990年代以降の建築・都市 4]
近代都市のアール・ヌーヴォー 今から一〇〇年前、地下鉄が近代都市のシンボルだった頃、パリのメトロの入口が、エクトール・ギマールの設計によって華麗に飾りたてられた[図1]。鉄がのたうちまわり、枝や節、そして背骨のような部分がある。さらに光を透過するガラスの屋根がのる。一見して、緑色の異形のオブジェのようだ。有機的な生命体...
『10+1』 No.28 (現代住宅の条件) | pp.156-166