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施設のリサイクル | 藤原徹平
Facilities for Recycling | Teppei Fujiwara
掲載『10+1』 No.21 (トーキョー・リサイクル計画──作る都市から使う都市へ, 2000年09月発行) pp.128-135

至極当然のことなのだが、東京には非常に多くの建築物が建っている。そう思って地図や実際の都市を眺めてみると、その当たり前の現実に圧倒されてしまう。しかもその多量な建築群のうちほとんどはわれわれの生活に直接関わってこない施設である(例えば小学校という建築も一旦卒業してしまえば、再びその利用者になることはないだろう)。放っておくと施設はどんどん専門化され、その実態は霧に包まれていってしまう。ここで提案したいのは、東京にあるいくつかの施設のリアリティを再び獲得し、新たな形でリサイクルしていくことである。見慣れたモノばかりかもしれないが、初めて見る素材を前にした料理人の心持ちで見ていただきたい。

Facilities
001
小学校

少子化のあおりを受けて、各地で小学校が余剰になってきている。しかもどこでも同じ標準設計建築に対する批判もある。しかしながら、同じものが大量に都市にばらまかれているこの状況は、インフラ施設としてリサイクル可能であることを示している。そもそも小学校ほど多機能な建築がほかにあるだろうか。(藤原徹平+伊藤暁)

Facilities
002
銭湯

いまやほとんどの住宅には風呂があり銭湯の利用客は減る一方である。もはや銭湯は都市に不必要なものとなってしまったのかもしれない。しかし、銭湯には単に風呂に入るという機能以外に、さまざまな施設の役割を担うだけの空間的・設備的な可能性がある。銭湯のリサイクルで福祉問題が一気に解決してしまうこともあるだろう。
(藤原徹平+前崎紀人)

Facilities
003
公園

東京にはさまざまな公園がある。その中には、普通なら考えられないような不思議な公園もある。それらは公園として見るとちょっとダメな部類に属するかもしれないが、視点を変えて眺めれば、案外有効に活用できるのかもしれない。例えば、災害が起きれば、公園は瞬時にhousingのための重要な施設となる。
(富田文代+藤原徹平)


Facilities
004
銀座

東京23区に、銀座商店街は大小合わせて99個存在する。その99の銀座を含めた商店街の多くは利用客の減少や大店鋪の進出などの問題を抱えている。しかし銀座を横倒しの超高層建築と見たて、リサイクルすることができれば、それらの問題すらもジャンプすることができるはずである。
(藤原徹平+鈴茂享祐)


Facilities
005
東京湾岸

葛西臨海公園から羽田空港に至る東京港湾区域の水際線は総延長181,445mであり、水際線をもつ敷地総数は1,479にものぼる。この東京湾岸地域をひとつの巨大で高性能な施設とみなし、その実体を掴むことによって、ステレオタイプなウォーターフロント再開発とは違った形でのリサイクルが可能となる。(Jean-Louis Rivard+田名後康明)

東京湾岸の断面は下の15のタイポロジーに分類できる。分類方法として、海岸線から100m幅における環境に着目した。 この15のタイポロジーを基本形として東京湾岸は構成される。

東京湾岸の断面は下の15のタイポロジーに分類できる。分類方法として、海岸線から100m幅における環境に着目した。
この15のタイポロジーを基本形として東京湾岸は構成される。

東京湾岸は、高度に専門化された地域が多く、アクセスできない領域が非常に多い。しかし詳細に調べてみると、空地の占める割合がかなりあることがわかる。 実はまだまだ東京湾岸は高密に使用することも、多機能に複合していくことも可能なのだ。

東京湾岸は、高度に専門化された地域が多く、アクセスできない領域が非常に多い。しかし詳細に調べてみると、空地の占める割合がかなりあることがわかる。
実はまだまだ東京湾岸は高密に使用することも、多機能に複合していくことも可能なのだ。

>藤原徹平(フジワラ・テッペイ)

1975年生
フジワラテッペイアーキテクツラボ代表。建築家、隈研吾建築都市設計事務所設計室長。

>『10+1』 No.21

特集=トーキョー・リサイクル計画──作る都市から使う都市へ