RUN BY LIXIL Publishingheader patron logo deviderLIXIL Corporation LOGO

HOME>BACKNUMBER>『10+1』 No.16>ARTICLE

>
建築の訓読を巡っての書簡 | 岡崎乾二郎+中谷礼仁
Notes on Literal and Metaphoric Readings of Architecture | Okazaki Kenjiro, Nakatani Norihito
掲載『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) pp.206-225

詞の通路(かよひみち)と、建築の通路……岡崎乾二郎

公開を制限しています

建築史の本然を辿って〈作業〉の根幹を知る……中谷礼仁


岡崎乾二郎様
まことに含蓄ぶかいおはなし、つつしんで拝読いたしました、といってすませられる建築史家の余裕が私にはありません。というのは、よくよく考えてみると、氏の書簡をうけとめる構造が、日本の建築史にはほとんど無いからです。
氏の書簡はおおよそ以下のような流れにおいて成り立っていました。まず日本建築固有の文化創出の手法を読解するための手だてとして、客体に主体的な位相を付加する日本語における独特の漢文〈読み下し〉システム(テニヲハ)が提起されました。次にこれに関連して、同様の主旨を持つ先駆的な著作である、井上充夫の『日本建築の空間』(一九六九)が積極的な批判対象として採り上げられました。岡崎氏はその結果として、幾何学的空間に対立する日本的行動空間(不規則性や自由性を積極的に支持する基本的な原理)と、その具体的手法としての(まさにテニヲハに位置する)廊下や廂という付加物の突出という井上の仮定を、まずは評価します。しかしながら客体としての建造物と主体としての空間使用者の活動という二分法にもとづく以上のような命名は、言語学者・時枝誠記の作業と同様、起源としてのヤマトゴコロを結果的に認めてしまうような観念的な転倒(前号に言う発明物)の種子を依然はらんでいる。井上が行動的空間の起源をさかのぼらず近世に求めたことは慧眼ではありますが、むしろ研究者の方が、そのような神話の構造を作り出してしまう危険性は往々にしてあるものです。

公開を制限しています

>岡崎乾二郎(オカザキ・ケンジロウ)

1955年生
近畿大学国際人文科学研究所教授、副所長。造形作家、批評家。

>中谷礼仁(ナカタニ・ノリヒト)

1965年生
早稲田大学創造理工学部准教授、編集出版組織体アセテート主宰。歴史工学家。

>『10+1』 No.16

特集=ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義